大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(ネ)68号 判決

原判決中被控訴人が昭和二十五年十一月十七日なした村長選挙期日指定の告示の無効確認を求める控訴人の請求を棄却した部分を取り消し、右請求に関する控訴人の本訴を却下する。

右告示の取消を求める部分に関する控訴人の控訴を棄却する。

訴訟費用は第一、二審とも全部控訴人の負担とする。

二、事  実

控訴人は原判決を取り消す、被控訴人が昭和二十五年十一月十七日芦選告示第三十九号を以つてなした芦川村々長選挙の期日を同年十二月八日と定める旨の告示の無効であることを確認するとの判決並びに予備的に右告示を取り消すとの判決を求めると申し立て、被控訴人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の供述は被控訴人において「控訴人の本件訴は全部却下せらるべきものである。抑々選挙とは選挙期日の指定、選挙人名簿の確定、候補者の届出、投票用紙の調製、各選挙人の投票及びその管理、投票の結果の審査、当選人の決定等の数多の行為を包括する集合的行為である。換言すれば選挙の管理執行に関する一連の行為を総称する観念である(最高裁昭和二十三年(オ)第一三号判例)、而して右のような一連の行為の集積の後に選挙が施行せられるのであり、且、この一連の行為の有効無効を争う者はすべて終局においては選挙の有効無効を争うことに帰着するのである。而して選挙手続を構成する一連の行為の各一々について選挙訴訟とは別個の行政訴訟を許すとして、その選挙行為の無効が確認されたとしても、その選挙行為に基いて施行された選挙については、選挙無効の判決が確定するまでは依然として有効であり、且つ又かゝる行政訴訟の結果と選挙訴訟の結果と相反する場合すら生ずる恐があるのである。従つて、公職選挙法において選挙訴訟について当事者適格、出訴期間、管轄裁判所等の一定の争訟手続につき厳重な制約を設け選挙の効力をなるべく迅速かつ画一的に確定せしめんとしている以上(最高裁昭和二十三年(オ)第一五二号判例)、この選挙手続を構成する行為、例えば本件において問題となつている選挙期日の告示のみをとり上げてその違法乃至不存在を理由として、通常の行政訴訟を求めることは許さぬものといわねばならない。」と陳述した外、原判決摘示事実と同一であるからこれを引用する。

(各証拠省略)

三、理  由

選挙とは選挙期日の告示、候補者の届出の受理、選挙管理人、投票管理人、投票立会人の選任、各選挙人の投票とその管理、投票の結果の審査、当選人の決定等の諸行為を包括する集合的行為であつて、換言すれば、選挙の管理執行に関する一連の行為を総称する観念である。公職選挙法第二百五条によれば、これら選挙の管理執行に関する規定に違反することがあつても選挙の結果に異動を及ぼす虞がある場合でなければ、選挙を無効とすることができないのであるから、選挙の執行が終つた後でなければ、これら選挙の管理執行に関する規定の違反を理由とする選挙の効力はこれを決定することができないものといわなければならない。従つて、同法第二百二条は、選挙の終つた選挙の日を標準とし、選挙人又は候補者に対し、選挙の管理執行に関する規定の違反を理由として選挙の効力に関する争訟の途を与えたもである。しからば、公職選挙法はこれら選挙の管理執行に関する個々の行為が選挙の規定に違反することがあつても、個別的にその違反を理由として、その効力を争うことを許さないものと解するを相当とする。然るに控訴人が本訴において請求するところは選挙の期日の告示の無効の確認又はその違法を理由としてこれが取消を求めるにあることは控訴人の主張自体に徴し明かであるから、本訴は全部不適法として却下すべきものである。しからば、原判決中控訴人の本件選挙期日の告示の無効確認を求める請求を棄却した部分についてはこれを却下しなかつたのは失当であるから、これを取消し、右請求に関する控訴人の本訴を却下すべきものである。また原判決中控訴人の本件選挙期日の告示の取消を求める部分については、控訴人の訴を却下したのは、その理由において不当ではあるが、前記説示の理由によるも訴の却下を免れぬのであるから、右部分に関する控訴はこれを棄却すべきものである。よつて訴訟費用の負担について、民事訴訟法第九十六条、第八十九条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 斎藤直一 山口嘉夫 猪俣幸一)

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